毎朝、お参りに行く神社に住んでいるYさんと、その日も雑談をしました。
その日は、詩吟の練成会があるという話をしたら、Yさんが40年ほど前に、ある人に詩吟を薦められたそうです。
Yさんに詩吟を薦めたAさんは、愛知県にある交通刑務所に、5,6か月入っていたそうです。
そこで、詩吟を習って、とても良いと思ったのか、Yさんにもやらないかと薦めてくれたということでした。
詩吟を薦めてくれたAさんですが、交通刑務所から出たときは、Yさんに詩吟を薦めるほど、意識が変わっていたようなのですが、2,3日したら、また以前の意識に戻ってしまったようなのです。
出所直後は、おとなしい運転をしていたそうですが、しばらくしたら、自分の愛車で猛烈に飛ばして、あっという間に走り去ってしまったそうです。つまり、Aさんは刑務所に入る前に、戻ってしまったようなのです。
このことで、昔、高橋信次先生にお聞きしたことを思い出しました。 人間の心・生活習慣(カルマ)は、慣性の法則が働いているので、簡単に方向転換しようとしても、できないということです。 Aさんの心と生活習慣は、半年程度の刑務所生活によっては、変わらなかったのです。
慣性の法則とは、車が走っているときに、前に進もうとしているエネルギーが働いていることをいいます。
スピードが速ければ早いほど、停止させるために、大きなエネルギーが必要になります。
時速100kmで走っていたら、急ブレーキをかけても、停車するまでに、かなりの距離が必要です。
ネットで検索したら、時速100kmの場合、停止距離:84m、空走距離:28m、制動距離:56mと出てきました。
生活習慣は、一つの慣性の法則にしたがって、繰り返されています。
生活習慣を変えようとした場合、それなりのエネルギー・時間がかかるというわけです。