詩吟を習い始めて、もう5年以上になります。
最初は親しい人に、強く勧められたのが、きっかけでした。
詩吟を始めて見ると、いろいろな楽しみ方が分かってきました。
例えば、次のような楽しみがあります。

1. 漢詩の読み下し文(文語)の美しさ

 漢詩は中国語といってもよいです。その中国語を、文語の読み下し文に翻訳して、日本語として理解することになります。
 文語自体の持つ格調の高さが、気持ちを心地よくさせてくれます。

2. 1000年以上も前の歴史上の人物、史実に親しむことが出来る

 漢詩の作者は、古くは陶潜(四世紀)、李白(八世紀)などの中国の詩人から始まり、幕末の吉田松陰、西郷隆盛、明治の夏目漱石などが著名です。彼等が作った漢詩を、直接味わうことが出来ます。漢詩を通じて、時代々々の詩人の心に、触れることによって、いにしえの世界に引き込まれます。

3. 諺、人生の教訓が含まれている

 「少年老い易く、学成り難し。一寸の光陰、軽んずるべからず。」とは、朱熹という中国の有名な儒学者の作った漢詩から、採った一節です。「若いと思っていても、あっという間に年を取ってしまう。学問を究めることは、難しい。寸暇も惜しまず、学に励むことだ。」という意味で、よく知られています。多くの漢詩に接するうちに、諺や故事の由来を発見することができます。

4. 詩吟のメロディーの美しさ

 詩吟は、独特のメロディーを持ち、無伴奏で謡うことができます。勿論、伴奏を付けたり、合唱することもあります。一人でも詩吟を吟じて、楽しむことができます。

5. 吟が自然に腹式呼吸になり、健康に良い

 詩吟は、発声を腹式呼吸で行います。姿勢を良くして、深く息を吸い込んで、お腹から声を出すように、吟じます。その結果、腹式呼吸が身につき、健康に良いといえます。

このように詩吟を続けることで、いろいろなメリットを享受できるわけです。
江戸時代以前には、漢詩・漢籍は、当たり前の教養でした。
日本人に、深く根付いてきた文化であるといえます。
少し近寄りがたいところがある漢詩に親しむための方法として、詩吟は、優れた手段であると思います。詩吟を通じて、日本文化の心を大切にしていきたいと思います。

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