「最後の審判」について、ミケランジェロがシスティーナ礼拝堂に天井画を描いたことで、ご存知の方も多いともいます。
しかし、日本人はキリスト教徒ではないため、この「最後の審判」が意味するところを知っている方は、少ないかもしれません。
最近、スウェーデンボルグという、近代の有名な科学者・哲学者・神秘思想家の著わした「最後の審判と霊界の諸相」という本を、入手して読みました。
スウェーデンボルグの著作は、大学生の頃に図書館で、よく読んだ記憶があります。
スェーデンボルグは、18世紀の一流の科学者でありながら、霊視能力を持っており、1759年7月19日に発生した、スウェーデンの首都ストックホルムの大火災を、500km近く離れたイェーテボリという都市から、霊視したという逸話で有名です。
霊界の宣伝マンこと、丹波哲郎さんは、このスェーデンボルグの本を、ネタ本として、霊界のことを話されていたのではないかと、私は思っています。
「最後の審判と霊界の諸相」には、所謂「終わりの時」、終末に、キリスト教徒の教派や、各国民が、どのような審判を受けるかについて、スェーデンボルグが天界に行って、見聞きして来た事柄が語られています。
キリスト教徒のみならず、ユダヤ教や、マホメット教(イスラム教)、さらには、支那(中国)などの異教徒についても、描かれています。
神学的で、形而上学的で、理解するのが難しいです。
「最後の審判」に、登場してくる魂の多くは、不信心で、彼らは荒れ地に追いやられるか、地獄に投げ込まれるということが、語られています。
「霊界の諸相」には、あの世の霊界は大きく分けて、自然的な王国(自然界)と、霊的な王国(霊界)と、天的な王国(天界)の三つの王国・階層が存在しているとしています。
自然的な王国(自然界)は、幽界(四次元の世界)に対応して、、霊的な王国(霊界)は、霊界(五次元の世界)、天的な王国(天界)は、神界(六次元の世界)に、それぞれ対応しています。本当は、その上に、「菩薩界」などの世界があるのですが、この本では言及されていません。
それぞれの王国・階層には、この地上界と同じように、土地、山、岡、平原、草地、楽園または庭園、木立と森があります。
自然界にあるものより、霊界に在るものはより完全であり、天界に在るものは、霊界に在るものよりより完全であるとあります。
そこに住む人たちは、この世の人間と同じような着物(下着を含めて)を着ています。そして、この地上にいたときのような家を持っていて、家には、庭付きの部屋と寝室があり、テーブル、ベンチ、器具、種々の装飾品あります。
天界には、この世の宮殿とは比べ物にならないほど、壮麗な宮殿があります。その内も外も、均整の取れた美しい建築で、金と宝石で地上の職人では、到底表現できないような装飾がされているといいます。
そこにあるものは、すべて霊的なモノであり、一瞬のうちに形作られ、一瞬のうちに消滅します。
そこに住んでいる、住人はそれが霊的なモノではなく、物質的なモノのように信じているということです。
天使は最小の形をとった天界であり、それぞれその者自身の中に天界を持っているため、その者自身の外側に天界を持っているのです。
このことは、天使自身は一つの小宇宙であり、自分がつくり出している小宇宙に、住んでいるということを意味しています。
不信心な者たちは、こうした王国・階層に住むことができず、荒野やもっと暗い地獄の世界に、追いやられているということです。
説明が長くなってしまいましたが、スェーデンボルグが語っているあの世の世界は、そのような世界です。
キリスト教の一つの教派であるルーテル教会では、「最後の審判においてイエス・キリストが敬虔な者と選ばれた者には永遠のいのちをあたえ、不敬虔な者と悪魔には限りない苦悩を宣告する」と教義にあります。
しかし、「最後の審判」の時、地獄に堕ちている魂が、その後、どのようなことになるか、このスェーデンボルグ自身は、このの本で、語っていないようです。
実は、この「最後の審判」は、キリスト教や、ユダヤ教に、先立って、ゾロアスター教において、既に説かれた終末思想です。
「最後の審判」(Wikipedia)には、次のようにあります。