私には、ミャンマー人の友人が二人あります。一人は日本に住んでいます。

 

シュエダゴンパゴダ

 

先日、古くからのミャンマーの友人から、ミャンマーから日本にやって来るという連絡がありました。

 

アウンさんからのメール

 

彼は、昨年(2022年)の11月にも、来てくれました。

今回の彼の目的は、日本でビジネスを始めたいとのことでした。

彼は、2001年のころ、名古屋工業大学に在籍していて、2年間ほど、私の会社のアルバイトをしてくれたのでした。

彼はとても優秀で、高校生の時、日本でいうと共通一次のようなテストで、全国一位を2回とったことがあるそうです。

日本の大学に入学するため、九州の日本語学校で、半年ほど日本語を勉強して、名古屋工業大学に編入されました。

ミャンマーでは、高校の理科の授業はすべて英語で行われているそうです。

そのため、ITでは不可欠な英語のマニュアルや、情報などを素早く検索ができ、コンピュータの機器や、ソフトウェアを使いこなすことができました。

日本人の場合、日本語のマニュアルがないと理解が難しいことが多いのですが、彼の場合はスイスイと、専門マニュアルを読みこなすことができます。

私の会社が、データセンターを借りて、インターネットのサーバーの運用を、ビジネスとして、できるようになったのは、彼のお陰といっても良いです。

彼は、ミャンマーのとても裕福な家庭で生まれました。

私は、ミャンマーにある彼の実家に行ったことがあるのですが、大きな門があり、車が門の前に到着すると、中から若いお手伝いさんが二人、飛び出してきて、門の扉を開けてくれます。

彼の部屋は、3階建ての自宅の2階にあり、30畳ほどの大きさの広々とした部屋に、ベッドと机がありました。

彼のご両親は、お二人とも大学教授で、とても高い収入がありました。

しかし、彼は日本に来てしまうと、日本の物価が高いため、仕送りだけでは、経済的にギリギリの生活でした。

そのため、私がランチや夕食をご馳走していました。

そのことを、彼はとても恩義に感じているため、逆に私がミャンマーに行った折りには、ホテル代などを持ってくれたりしました。

彼は、現在、ミャンマーで80名の社員の会社を、経営しています。

その彼が、日本に来た理由は、2年ほど前に起きた軍事クーデターのため、ミャンマー国内のビジネス環境が、どんどん悪くなっているからでした。

会社を成長させるためには、日本でビジネスをすることが、一番良い戦略になるということです。

私は、彼が日本でビジネスをするための、最も手っ取り早い方法について、彼に説明しました。

それは、2015年の12月に、自分が経営していた会社を、事業譲渡した譲渡先の会社(S社)から、下請仕事をもらうことでした。

そのS社で、営業部顧問として2年半働いたので、私自身はそれなりの信用があります。

そして、彼もS社の会長と、ミャンマーであったことがあるので、話が通しやすいということがあります。

S社から、一定量の仕事を回してもらえれば、日本で起業することはそれほど難しいことではありません。

私自身は、彼が設立する会社の”顧問”として、働くという提案をしました。

彼は、日本では人脈がないため、渡りに船ということになります。

S社にしてみれば、人材不足で受注できないような案件を、取りこぼすことがなくなり、結果としては売上がアップします。

そうした、互いに、Win-Win の関係が作れるのではないか、というのが私の考えです。

私も、年金収入だけでは、とても窮屈なので、収入が増えることは、大歓迎です。

そして、S社の営業本部長とアポを取って、アウンさんの会社の件について、打合せをすることになりました。

 

現在、通貨リセットが行われるとか、ユニバーサル・ベーシックインカムが実施されて、お金に困らなくなる世の中になる、という情報が流れています。

そうした外部要因の変化で、経済的に裕福になるのを待つのではなく、例えば、私はアウンさんの新しい会社に雇われることで、新たな収入を得ることができます。

そして、新しい職場で、働いて成果を出すことが、自分にとって、社会に貢献する道だと思えるのです。   (黒川 記)